植生調査の概要

自然環境保全基礎調査植生調査(以下、植生調査という。)は、自然環境保全施策の推進等において重要な資料となる現存植生図を全国的に整備、全国の植生現況を把握することを目的に、1973年度実施の第1回植生調査以降、40年以上に渡り継続して実施している調査である。なお、わが国の国土のうち北方領土は除く。
第1回調査では、日本全体の植生現況の科学的な把握を目的として実施され、その結果縮尺1/20万の現存植生図が都道府県毎に初めて整備された。
さらに1979~1986年度にかけて実施された調査では、より詳細な全国の植生現況の把握と地域レベルの計画に対応できる現存植生図の作成を目的に、全国の縮尺1/5万現存植生図(以下、1/5万植生図という。)1,293面が整備された。
1989~1998年度には、各回の経年変化を効率的に把握するため、1979~1986年度に作成された1/5万植生図をもとに人工衛星データを活用し、植生が変化した部分を修正した植生改変図が作成された。
1999年度以降、現存植生図の全面更新が20年間なされていないこと、環境影響評価法の施行に伴う環境アセスメントの基礎資料としての現存植生図への要望が高まったことを受け、縮尺1/2.5万植生図の作成を継続して実施している。

植生調査の変遷

実施年度 1973 1979-1986 1989-1998
縮尺 1/20万 1/5万
作成方法 現地調査+空中写真判読 人工衛星画像 +現地調査
最小把握群落単位 1ha(重要な群落にあっては1ha以下であっても把握)
凡例の基本単位 植物社会学的群落分類による群集又は群集レベルの群落
凡例数 362 766
精度管理単位
(凡例設定を含む)
都道府県毎
調査実施体制 都道府県委託
専門家協力体制 日本生態学会 各都道府県専門家
GISデータ 有(調査終了後、1996~1998年度に整備)
特徴 我が国における自然植生の残存面積を把握することを目的に緊急的に全国の植生状況を把握。 自然環境に関する基本情報図として全国をカバーする大縮尺の現存植生図を2期に分けて整備。 異なる2時期の人工衛星画像を比較することにより植生の改変部分を抽出し、その改変状況を把握する事で、1/5万植生図を更新。
実施年度 1999-2004 2005~
縮尺 1/2.5万
作成方法 現地調査+空中写真判読
最小把握群落単位 1ha(重要な群落にあっては1ha以下であっても把握)
凡例の基本単位 植物社会学的群落分類による群集又は群集レベルの群落
凡例数 約 900
精度管理単位
(凡例設定を含む)
全国共通
調査実施体制 民間請負
専門家協力体制 各都道府県専門家
GISデータ
特徴 縮尺を1/2.5万とするとともに凡例の見直し・精度の均一化により環境影響評価での利用等の利用範囲の拡大と解析の便を図る。 植生図はGISデータ及びGISによる出力図として作成。