植生区分とクラス域

日本の植生は、自然植生の構成種の名をとって、高山帯域(高山草原とハイマツ帯)、コケモモ-トウヒクラス域(亜高山針葉樹林域)、ブナクラス域(落葉広葉樹林域)、ヤブツバキクラス域(常緑広葉樹林域)の各クラス域に大別されている。この「クラス域」とは、広域に分布し景観を特徴づけている自然植生によって植物社会学的に定義されたもので、主要なクラスの生育域のことを指している。

4つの植生帯

高山帯

日本の高山帯はヨーロッパアルプス等にみられる草原主体の高山帯ではなく、ハイマツの低木群落が優勢で植生体系上はコケモモ-トウヒクラス域上部に含められているが、常緑針葉樹林の優占する亜高山帯とは景観上明瞭に区別できるため、一般的に高山帯の植生域として分けられている。北海道北部では低地からみられ、南にいくほど高度を上げ、本州中部山岳で2,400m以上が相当する。

高山帯

コケモモ-トウヒクラス域

日本の常緑針葉樹林域は、広く分布する小型木本植物と針葉樹の名を組み合わせて、コケモモ-トウヒクラス域と呼ばれている。北海道の大雪山系では標高500m付近からみられるが、南にいくほど高度を上げ、本州中部では標高2,400mから1,500~1,600mの間に発達する。四国では1,700m以上となる。

コケモモ-トウヒクラス域

ブナクラス域

日本の落葉広葉樹林域は、群落体系上の最上級単位であるブナクラスの名をとり、ブナクラス域と呼ばれている。ブナクラス域は東北北部から北海道では低地からみられる。南にいくほど高度は上がり、中部日本で標高1,500~1,600mから600~700mの間に発達し、九州の霧島で700mから1,000mとなる。

ブナクラス域

ヤブツバキクラス域

日本の常緑広葉樹林域は、体系上の最上級単位であるヤブツバキクラスの名をとって、ヤブツバキクラス域と呼ばれている。ヤブツバキクラス域は関東以西の標高700~800m以下で発達し、北にいくほど高度を下げ、東北地方北部では海岸寄りに北上している。逆に南にいくほど高度は上がり、九州の霧島では1,000mが上限となる。ヤブツバキクラス域は、本州、四国、九州までの地域と、常緑植物の豊富な奄美大島以南の琉球及び小笠原の亜熱帯域に大きく2分される。

ヤブツバキクラス域